「情報」と「制御」の違いから紐解く、TSN時代のFAネットワーク選定ガイド
「オープン系」と「FA系」、ネットワークは何が違う?やさしい入門ガイド
工場のネットワークを選ぶとき、「同じイーサネットなのに、なぜいくつも規格があるのか」と感じたことはありませんか。
実は、ネットワークには大きく2つの種類があります。オフィスやインターネットで使われる「オープン系」のネットワークと、工場の機械を動かすための「FA系」(Factory Automation:工場自動化)のネットワークです。この2つは、配線や見た目はよく似ていても、目的がまったく違うため、それぞれ得意なことが異なります。
今回は、この2種類のネットワークの違いを、具体的な現場のイメージを交えながら、シンプルに紹介します。
1. そもそも何が違うのか:「情報を届ける」か「機械を動かす」か
オープン系ネットワーク(Webサイトの閲覧、メール、ファイル共有など)オフィスのパソコンを使うためのネットワーク
→ 目的は「情報を正確に、確実に届けること」。多少時間がかかっても、データが1つも欠けずに届くことが大事です。
FA系ネットワーク(工場の機械やセンサー、モーターの制御など)
→ 目的は「決まったタイミングで、途切れずに信号を送り続けること」。多少のズレより、一定のリズムを保つことが大事です。
つまり、オープン系は「(応答時間の長短はあるものの)すべての分割データが確実に届くこと」を重視し、FA系は「一定のリズム・スピード内での応答の正確さ」を重視する、という考え方の違いがベースにあります。
2. たとえで理解する:宅配便と定期便
この違いは、配送のたとえで考えると分かりやすくなります。
・オープン系=宅配便
荷物(データ)が必ず届くことを最優先します。時間がかかっても、途中で確認を取りながら確実に運びます。
・オフィスのパソコンでインターネットサイトを閲覧するようなケースやメールの送受信を行うようなケースがこれに当たります。
・FA系=定期便(決まった時刻に来るバス)
「毎分1回、必ず同じタイミングで来る」ことを最優先します。1回分の荷物が多少軽くても、リズムが崩れないことが大事です。

3. FA系ネットワークの具体例:現場ではこう使われている
FA系ネットワークが「一定のリズム」を重視する理由は、実際の現場を見るとよく分かります。
例1:コンベア上の異物検知
ベルトコンベアに設置されたセンサーが異物や不良品を検知すると、その情報は瞬時にPLC(制御装置)へ伝わり、コンベアを即座に停止させます。この通知が数十ミリ秒でも遅れると、不良品が次工程まで流れてしまいます。「早く・毎回同じタイミングで」伝わることが、品質を守る生命線になっています。
例2:モーターの回転速度制御
インバータがモーターの回転速度を細かく調整する際、PLCから送られる指令が一定周期(例えば数ミリ秒ごと)で途切れず届く必要があります。指令が届くタイミングがバラバラだと、モーターの動きがガタつき、製品の仕上がりにムラが出てしまいます。
例3:温度調節器による加熱制御
温度センサーが読み取った値を温度調節器・PLCへ一定周期で送り続けることで、ヒーターの出力を細かく調整し、狙った温度を安定して保ちます。この周期が乱れると、温度が上下にブレてしまいます。
このように、FA系ネットワークで使われる規格(EtherNet/IP、CC-Link IE、PROFINET、EtherCATなど)は、名前は違っても「センサーやモーターの信号を、一定のリズムで途切れず送り続ける」という共通の目的を持って作られています。
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視点 |
オープン系ネットワーク |
FA系ネットワーク |
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主な目的 |
情報を正確に届ける |
機械を一定のリズムで動かす |
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重視すること |
データの正確性・柔軟性 |
速さ・タイミングの安定性 |
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身近な例 |
Webサイト閲覧、メール、社内共有フォルダ |
コンベアのセンサー、モーターの速度指令、温度調節器の制御信号 |

まとめ
オープン系は「情報を正確に届ける」ためのネットワーク – FA系は「機械を一定のリズムで動かす」ためのネットワーク – コンベアの異物検知、モーターの速度制御、温度調節など、現場の機械はすべて「一定のリズム」を前提に動いている
ネットワーク選びで迷ったときは、「これは情報を届けるためか、機械を動かすためか」という目的に立ち返ると、判断しやすくなる
FA系のネットワークで飛び交う生産情報を蓄積し、改善に反映させるなど、両者の情報を合わせて複合的に活用したいニーズが高まってきているため、オープン系のデータも扱えるFA機器が主流になりつつあるので、何に重点を置くか、また将来の拡張性なども考慮にいれた機器選定が重要になってきています。




